供揃ともぞろ)” の例文
右衛門大夫秀治うえもんだゆうひではるは、きょう城を出て光秀と会見するため、もう身支度から供揃ともぞろいまでしているのである。何で今さら——といわぬばかりな顔して
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云っても表面から見れば別に大したことでもなく、鏡葉之助が供揃ともぞろいの中から、にわかに姿をくらましただけであった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これも槍を立て数人の供を引きつれて東に下るものと見えました。これは供揃ともぞろいはさほどでなかったけれど、乗物を三つも並べたところが物々しい。
おそしとまたれける頃は享保きやうほ十一丙午年ひのえうまどし四月十一日天一坊は供揃ともぞろひして御城代の屋敷やしきおもむく其行列そのぎやうれつには先に白木しらき長持ながもちさを萌黄純子もえぎどんす葵御紋付あふひごもんつき油箪ゆたん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
供揃ともぞろ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とばかり、蒼惶そうこうとして供揃ともぞろいの用意をさせ、玄堂を案内に、自身は徒歩かちで、一挺の塗駕ぬりかごを清掃して早々迎えに出向く。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
供揃ともぞろいをして、駕を、わざわざ呉服橋の吉良家へ向けた。あくまで師門に弟子入でしいりするような礼を執って、内匠頭は、慇懃いんぎんに、指導を仰いだ。その態度が、上野介には気に食わない。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)