たまたま)” の例文
旧字:
以テ日ヲ消スルノ具ニ供ス。尾濃ノ間騒人緇流しりゅうソノ高風ヲ慕ヒ遊ブ者常ニ数十人。経ヲ抱ヘ策ヲはさミ益ヲ請フ者マタ日ニむらがリ至ル。居ルコト数年たまたま尾公学校ヲ起シ以テ賢者ヲ招ク。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかも王なお屈せず、衝撃いよいよ急なり。たまたままた暴飇ぼうひょう起り、おくひるがえす。燕軍之に乗じ、傑等おおいついゆ。燕兵追いて真定城下に至り、驍将ぎょうしょう鄧戩とうしん陳鵰ちんちゅう等をとりこにし、斬首ざんしゅ六万余級、ことごとく軍資器械を得たり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
遠叔東西ニ奔命シ力ヲ藩事ニいたス。人コレヲ以テすこぶる疑ヲ誠県ニ致ス。たまたま藤本鉄石松本奎堂勤王ヲとなへ、兵ヲ帳下ニ挙ゲントス。皆軽躁詭激けいそうきげきノ士ナリ。一日酒ヲ置イテ京師ノ人物ヲ論ズ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)