休戚きゅうせき)” の例文
一身の小楽に安んじ錦衣きんい玉食ぎょくしょくするを以て、人生最大の幸福名誉となす而已のみあに事体の何物たるを知らんや、いわんや邦家ほうか休戚きゅうせきをや。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
なぜ、拙者がかかることが言えるかと申せば、出身が長州とは申しながら、拙者の致していること言っていることは一国一藩の休戚きゅうせきのことでないと自ら信じているからだ。
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
商家の主婦が商業上の智識を以て夫の事業を輔佐ほさすると、これに反して錦繍綾羅きんしゅうりょうらまとうて煎茶せんちゃ弾琴だんきんを事とし、遊興ゆうきょう歓楽かんらく無用の消費に財を散じ、良人おっとの事業に休戚きゅうせきを感ぜざる事や
国民教育の複本位 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
人民の利害休戚きゅうせきをば児戯のごとくに見なし、ただただ開戦論を主張し、ひとりこれにとどまらず、あわせてこれを実行せんと欲し、あるいは義捐金ぎえんきんをなし、あるいは従軍の嘆願をなし
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
たといその害のちいさいものでも直接たちどころに一国の利害休戚きゅうせきに関係します。
選挙に対する婦人の希望 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
さきに男のすなる事にもかかずらいしはこと国家の休戚きゅうせきに関し、女子たりとも袖手しゅうしゅ傍観すべきにあらず、もし幸いにして、妾にも女の通性とする優しき情と愛とあらば、これを以て有為の士をすすはげまし
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)