かか)” の例文
立ったまま私を抱きかかえ、少しおデコの彼女の額を、私の額へピッタリと食っ付け、梟のように眼を見張り、嚇かすように頬を膨らせ
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かかえしまま、床上に片膝をつきて眠る。領主は傍の寝台の上に仆れて眠る。使女や童はいつしか退場、従者は壁によりかかりて眠る
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
Fなる魔法使い (女子をかかえ)北へ行こう北へ行こう……。北の浜辺で、お前へ血薔薇の花を与えた若い男は俺だ。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私をしっかりと抱きかかえた。それから頬をおっ付けた。これが彼女の習慣であった。子供のように扱うのであった。
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
栞をかかえている頼母の姿は、数ヵ所の浅傷あさでと、敵の返り血とで、蘇芳すおうでも浴びたように見えてい、手足には、極度の疲労つかれから来た戦慄ふるえが起こっていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と見て取った浪之助は、刀を鞘へ納めるのも忙しく、澄江の側へ走り寄り、地に膝突き抱きかか
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
父夏彦の首級をかかえた憐れな孤児みなしごの久田姫は、その後一人城を離れ神宮寺村に住居すまいして、聖母マリヤと神の子イエスとを、守り本尊として生活くらしたが、次第に同志の者も出来
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
つぎの当たった襤褸ぼろのような服は、煮しめたように色が変わり穿いている靴の横腹よこっぱらはバクバク口を開けている。小さい包を小脇にかかえ丈夫そうな杖に体を支えて辛うじて立っているらしい。
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
(歌切れると共に女子は疲れ果ててFなる魔法使いの肩にすがる。魔法使いは女子を片手にかかえて海を眺めて彳む。突如高殿よりバイオリンの音聞こゆ。調しらべは短ホ調、歌は「死に行く人魚」の歌)
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
陶器師は頭をかかえ、その頭を地に押し付け、肩を刻んで泣いている。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ねえ主税さま」とあやめは云って、かかえている手へ力を入れた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ユダはこう云って抱きかかえようとした。
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一人の武士を抱きかかえている。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)