人力車じんりき)” の例文
また歩かせられることかと、竹丸は稍拗ねかけて見たが、千代松は直ぐ其處の橋のつめから、今度は値切りもせずに合乘りの人力車じんりきを呼んだ。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
さて重二郎は母の眼病平癒へいゆのために、暇さえあれば茅場町の薬師やくし参詣さんけいを致し、平常ふだんは細腕ながら人力車じんりきき、一生懸命に稼ぎ、わずかなぜにを取って帰りますが
八九人の中に怪しい紋附羽織もんつきばおりの人が皆黙って送って行く——むろん本尊の花嫁御寮はなよめごりょうはその真中まんなかにしかも人力車じんりきに乗って御座ござる——がちょうど自分の眼の前に来かかった。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
監獄ひとやいでぬ走れ人力車じんりきよ走れまちにまんまろなお月さまがあがる
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
竹丸は千代松に連れられて村から一里あまりへだたつた小ひさな町まで、水の美しい山川に添ひつゝ歩いて、其處から人力車じんりきで五里の道を大阪へ行つた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あれよりわるうございますと、それは恐入おそれいりましたな、わたくしは美人だと思つてましたが、器量きりやう善悪よしあしなでたツてわかりません……あ……あぶねえなア、んですなア……これは……。近「人力車じんりきだ。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
薄らかに紅く孱弱かよわし鳳仙花人力車じんりきの輪にちるはいそがし
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
人力車じんりき提灯かんばんけて客待つとならぶ河辺に蛍飛びいづ
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
JOHN は母上と人力車じんりきに。——
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)