井伊いい)” の例文
この転化を助けた契機に協調政治家阿部伊勢守の死による対立候補紀州慶福よしとみ擁立派井伊いい大老の首相就任があり、基底に横たわるものにたんに
尊攘戦略史 (新字新仮名) / 服部之総(著)
当時幕府に勢力のある彦根ひこねの藩主(井伊いい掃部頭かもんのかみ)も、久しぶりの帰国と見え、須原宿すはらじゅく泊まり、妻籠宿つまごしゅく昼食ちゅうじき、馬籠はお小休こやすみで、木曾路を通った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ある年四月に入って、二尺の余も積ったのは、季節からも、量からも、井伊いい掃部かもんさん以来の雪だ、と村の爺さん達も驚いた。武蔵野はしもの野だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
けれども先には外国人のために五港を開港し、その開国の勇者井伊いい直弼なおすけ〕大老は桜田門外に殺されてしまう。
青年の天下 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
赤鬼とは大老井伊いいのこと。守人はどきっとして口をつぐんだ。これは——うっかりできないぞ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それからおなじみの大器量人松平伊豆守まつだいらいずのかみ、つづいて勢州松平せいしゅうまつだいら隠岐おき松平、出雲いずも松平などの十八ご連枝、それに井伊いい本多、酒井榊原さかいさかきばらの徳川四天王をはじめ二十三家の譜代大名。
区域が広くなり、これくわうるに政治上の意味をも調合して、万延元年、井伊いい大老の事変後は世上何となく殺気をもよおして、手塚律蔵てづかりつぞう東条礼蔵とうじょうれいぞうは洋学者なるが故にとて長州人に襲撃せられ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
北国路ほっこくじには、上部八風斎かんべはっぷうさいのつかえる柴田権六勝家しばたごんろくかついえが、厳重にさくをかまえていて、めッたな旅人は通しますまい、また、東海道はなおのこと、徳川家康とくがわいえやすの城下あり、井伊いい本多ほんだ榊原さかきばらなどの
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
開国派の一方には、井伊いい大老の一派がいる。腹の中では開国すれば古い自分たちの権力が保てないことを知りつつも、なお一時の権勢を保とうとするための開国派である。
黒船来航 (新字新仮名) / 服部之総(著)