亀山かめやま)” の例文
刺青しせい」と云ふのを「刺青あおざし」と読み、「麒麟きりん」の中に出て来る「亀山きざん」を「亀山かめやま」と読んだりした。それでも叔父は頗る得意で熱心に読んだ
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そうじゃ。偉いこッちゃ。亀山かめやま六万石のお家も、とうとう、お世継よつぎなしで、この秋は、絶えるかも知れんでのう」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
川はすっかりきりかくれて、やや晴れた方の空に亀山かめやま小倉山おぐらやままつこずえだけが墨絵すみえになってにじみ出ていました。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「出張の序に運動をして来た。今度政変があれば、亀山かめやま氏が復活する。復活すれば、格式から考えて先ずこの辺だろう。他に似寄りのところが三四箇所あるけれど」
首切り問答 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
原品は東海道亀山かめやまばけとて張子にて飛んだりと同様の製作にて、江戸黒船町辺にてひさぎをりしを後
江戸の玩具 (新字旧仮名) / 淡島寒月(著)
それから、関、亀山かめやま四日市よっかいち、桑名、宮、岡崎、赤坂、御油ごゆ、吉田、蛸は大威張りで駕籠にゆられて居眠りしながら旅をつづけた。宿に着けば相変らず夜ふかしと朝寝である。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
元和元年大阪夏の陣に、三斎公に従って武功を立てたが、行賞の時思う旨があると云って辞退したので追放せられた。それから寺本氏に改めて、伊勢国いせのくに亀山かめやまって、本多下総守俊次ほんだしもうさのかみとしつぐに仕えた。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
亀山かめやまさんもどうなりましたろう。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
すでに北陸から移るやいな、細川藤孝、忠興ただおきの御父子とともに、丹波へ進まれ、亀山かめやまの守将内藤一族を軍門に降して、着々、実績をあげておられるではないか。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亀山かめやま出城でじろせき国府こうの手足まで、むごたらしくもぎとられた滝川一益たきがわかずます、そこに、死にもの狂いの籠城ろうじょうをする気で、狭間はざまからはブスブスと硝煙しょうえんをあげ、矢倉やぐらには血さけびの武者をあげて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「貴女は松平周防守まつだいらすおうのかみのご隠居——亀山かめやま龍山公りゅうざんこうをご存知ありませぬか」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)