下読したよみ)” の例文
旧字:下讀
彼らは夜になると、玄関にきりの机を並べて、明日あした下読したよみをする。下読と云ったところで、今の書生のやるのとはだいぶ違っていた。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「僕はこれから帰って明日の下読したよみをするんだから、酔っ払いの相手はしていられない。話があるなら、歩きながら聞こう」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
教師に差出すべき代数の宿題を一つもやって置かなかった。英語と漢文の下読したよみをもして置かなかった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
やがて、小供こども明日あした下読したよみをする時間だと云ふので、はゝから注意を受けて、自分の部屋へやへ引きつたので、あとは差しむかひになつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
教師に差出さしだすべき代数の宿題を一つもやつて置かなかつた。英語と漢文の下読したよみをもして置かなかつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
たまには学校の下読したよみやら研究やらに追われている多忙の身だと云う風もして見せた。小六は友達からそう呑気のんきな怠けもののように取り扱われるのを、大変不愉快に感じた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
下読したよみをする書物の内容は忘れても、頁の数は覚えているごとく、梯子段の数だけは明かに記憶していた。ちょうど十五あった。十五下り尽しても、まだ初さんが見えないには驚いた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
学校の教師をして、一軒ぢやめしへないもんだから、三軒も四軒も懸け持をやつてゐるが、そりや気の毒なもんで、下読したよみをするのと、教場へて器械的にくちうごかしてゐるより外に全くひまがない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今度からもっと苦くないのを買ってくれと云ったら、かしこまりましたとまた一杯しぼって飲んだ。人の茶だと思って無暗むやみに飲むやつだ。主人が引き下がってから、明日の下読したよみをしてすぐてしまった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)