下流かりゅう)” の例文
東の仙人峠せんにんとうげから、遠野とおのを通り土沢つちざわぎ、北上山地を横截よこぎって来るつめたい猿ヶ石さるがいし川の、北上川への落合おちあいから、少し下流かりゅうの西岸でした。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
玉太郎は、にわかに出来た流れをあきれながら見ていたが、ふと気がついて、その流れにそって下流かりゅうの方へ歩きだした。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そう多寡たかをくくって、三そうの筏に飛びうつり、向こうへわたろうとしたのであるが、思いのほか水足みずあしがはやく、鉄環の縄をきるやいな——ザアッと筏は下流かりゅうのほうへ押されてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時こうぎしちかくの少し下流かりゅうの方で、見えない天の川の水がぎらっと光って、はしらのように高くはねあがり、どおとはげしい音がしました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あの下流かりゅうの赤いはたの立っているところに、いつもうでに赤いきれをきつけて、はだかに半天はんてんだけ一まいてみんなの泳ぐのを見ている三十ばかりの男が
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その日は、もう私たちはすっかり川の心持こころもちになれたつもりで、どんどん上流のの荒いところからみ、すっかりつかれるまで下流かりゅうの方へおよぎました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
河原かわらのいちばん下流かりゅうの方へのようになって出たところに人のあつまりがくっきりまっ黒に立っていました。ジョバンニはどんどんそっちへ走りました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
下流かりゅうの方の川はばいっぱい銀河ぎんがおおきくうつって、まるで水のないそのままのそらのように見えました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)