三輪山みわやま)” の例文
もとこの像は三輪山みわやま神宮寺じんぐうじの本尊であって、明治維新の神仏分離の際に、古神道こしんとうの権威におされて、路傍に放棄せられるという悲運に逢った。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
向うのこんもりした森が三輪山みわやまあたりらしい。菜の花がいちめんに咲いて、あちこちに立っている梨の木も花ざかりといった春さきなどは、さぞ綺麗だろう。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
それではじめてお婿むこさんが大物主命おおものぬしのみことでいらっしゃったことがかりました。そしていと三輪みわあとにのこっていたので、その山をも三輪山みわやまぶようになりました。
三輪の麻糸 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
御室みもろ三輪山みわやまれば隠口こもりく初瀬はつせ檜原ひはらおもほゆるかも 〔巻七・一〇九五〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
媛はその糸の伝わっている方へずんずん行って見ますと、糸はしまいに、三輪山みわやまのおやしろにはいって止まっていました。それで、はじめて、お婿さんは大物主神おおものぬしのかみでいらしったことがわかりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
多武とうみねの陰欝な姿を右にながめながら、やがて汽車は方向を変えて、三輪山みわやまふもとへ近づいて行く。古代神話に重大な役目をつとめているこの三輪山はまた特に大和の山らしい。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
三輪山みわやまをしかもかくすかくもだにもこころあらなむかくさふべしや 〔巻一・一八〕 額田王
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
婿むこさんが鍵穴かぎあなから出て行ったことが、これでかりましたから、おひめさまはそのいとをたぐりたぐり、どこまでもずんずん行ってみますと、いとはおしまいに三輪山みわやまのおやしろの中にはいって
三輪の麻糸 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さて、その山を三輪山みわやまというについて、こういうおはなしつたわっています。
三輪の麻糸 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)