一杯いっぺい)” の例文
亥「冗談じゃアねえ知らしてくれゝばくせ鰹節かつぶしの一本かすっぺい酒の一杯いっぺいでも持って、旦那お芽出度めでとうござえやすと云って来たものを」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おれ、苦しくて苦しくて、避病院にもなにも行かれねえわ。それより、水を一杯いっぺい飲ませてくんろ」
或る嬰児殺しの動機 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
誰がりやがった、人の大切の胡麻のついた握飯むすびを盗んだ奴はどこにいる、こっちは嫌で残しておいたんじゃねえや、これから水を一杯いっぺい飲みながら、うまく食べようと思って取って置いたんだ
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兼「人を馬鹿にするなア、いつでもしめえにア其様そんな事だ、おやアおりを置いて行ったぜ、平清のお土産とは気が利いてる、一杯いっぺい飲めるぜ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
少しぐれえ焼けなくっても構った事はねえ、もう来月から一杯いっぺいに氷が張り、来年の三月でなければ解けねえから、知れる気遣きづかえはねえが、どうだえ
先刻さっき取りにやったと云ったが、また此様こんな土産物をよこしたのか、気の毒な、何だ橋本の料理か、兼又一杯いっぺい飲めるぜ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
權「なにせんから斯ういう手で、毛が一杯いっぺいだね、足から胸から、わしの胸の毛を見たら殿様ア魂消たまげるだろう」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それもいが、蝋燭だの線香だの香奠こうでんだのと云ってうちうち一杯いっぺいに積んで山のようになりました、金でも持って来ればいに、食えもしねえ蝋燭なんぞを持って来て
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あとからけえるかも知んねえから…まア茶ア一杯いっぺい呑みなさんしよ、多助さん、村の者がみんな噂して居りやすが、母様かゝさま邪見じゃけんで、お前のような温順やさしげな人をち敲きして折檻するとは情ない母様かゝさん
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なんだ金太きんたの野郎が酒が強いからあにいもう一杯いっぺいやんねえと云った、いゝなアけんでは負けねえが酒では負けるな、もう一杯いっぺい大きいので、もう一杯いっぺえという、悔しいやん畜生かなわねえ、滅法やった
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兼「こりゃア早い、いや大きに御苦労……兄い一杯いっぺいやるか」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)