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バターぱん
不憫にも
帽子屋は、
其の
茶腕と
牛酪麺麭とを
落して
了ひ、
片膝ついて、『お
助け
下さいませ、
陛下よ』と
初めました。
『
其の
後』と
帽子屋は
云ひ
續けて、『
私はもッと
牛酪麺麭を
切りました——』
『お
助け
下さいませ、
陛下よ』と
帽子屋は
顫へ
聲で、『——お
茶を
飮んでは
居ませんでした——もう
殆んど一
週間以上も
飮みません——オヤ、
牛酪麺麭が
莫迦に
薄くなつた——
一寸の
間に——』
これでは
全く
證人の
元氣づかう
筈がありませんでした、
矢ッ
張ぶる/\
顫へながら、
氣遣はしげに
女王樣の
方を
見て
居ましたが、やがて
無我夢中で、
持つて
居た
茶腕を
牛酪麭麺と
間違へて