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だぐわし
崖の
上の
觀音樣には
茶店がありました。
密柑やたまご 、
駄菓子なんどを
並べて、
參詣者の
咽喉を
澁茶で
濕させてゐたそのおばあさんは、
苦勞しぬいて
來た
人でした。
苔の生えた
鱗葺きの
屋根、
腐つた土台、傾いた柱、
汚れた
板目、
干してある
襤褸や
襁褓や、
並べてある
駄菓子や
荒物など、
陰鬱な
小家は不規則に限りもなく引きつゞいて
偖又文右衞門の女房は
勝手にて
番茶を入れ
朶菓子などを
取揃へて
持出たるに長八は大橋が
義氣の強きを彌々感じ心中に
成程斯まで
零落なしても武士の道を