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ごにんばやし
さうして二十
年も
昔に
父母が、
死んだ
妹の
爲に
飾つた、
赤い
雛段と
五人囃と、
模樣の
美くしい
干菓子と、それから
甘い
樣で
辛い
白酒を
思ひ
出した。
そうして二十年も昔に父母が、死んだ
妹のために飾った、赤い
雛段と
五人囃と、模様の美くしい干菓子と、それから甘いようで
辛い白酒を思い出した。
雛——
女夫雛は言うもさらなり。
桜雛、
柳雛、
花菜の雛、桃の
花雛、白と
緋と、
紫の色の
菫雛。
鄙には、つくし、
鼓草の雛。
相合傘の
春雨雛。
小波軽く
袖で
漕ぐ
浅妻船の
調の雛。
五人囃子、
官女たち。