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こぎよ
矢よりも
疾く
漕寄せた、同じ
童が
艪を押して、より幼き他の
児と、親船に寝た
以前の船頭、三体ともに船に
在り。
遥かにその姿の浮いた折から、荒物屋の
媼なんど、五七人乗った小舟を
漕寄せたが、流れて来る材木がくるりと廻って
舷を突いたので、船は波に乗って
颯と
退いた。
処が
其の
小船は、
何の
時か、
向ふ
岸から
此岸へ
漕寄せたものゝ
如く、
艫を
彼方に、
舳を
蘆の
根に
乗据えた
形に
見える、……
何処の
捨小船にも、
恁う
逆に
攬つたと
言ふのは
無からう。