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くわんのう
ああ、すべて
力なし。——さらにさらに
痛ましきはかかる
青き
薄暮の
激しき
官能の
刺戟。
其香が六
疊に
寐てゐる
御米の
鼻に
時々通つた。
彼女の
官能は
當時それ
程に
鋭どくなつてゐたのである。しばらくしてから、
宗助は
何を
考へたか、
小さい
位牌を
箪笥の
抽出の
底へ
仕舞つてしまつた。
あはれ、あはれ、
爛壊のまへの
官能のイルユミネエシヨン。
官能の
薄らあかり
銀笛の
夜とぞなりぬる。四十二年二月
はた、
冷やかに
官能の
疲れし光——
官能の
疲れにまじるすすりなき