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きゆうじよ
理屈を
申すぢやありません、
私の
越權は
私が
責任を
負ひます。
貴下は
信じませんか、
今現に
難破船が
救助を
求て
居るのを。
『だが
先刻は
確實に
救助を
求むる
難破船の
信號が
見えましたか。』と
眉に
唾した。
可笑しい
樣だが
船乘人にはかゝる
迷信を
抱いて
居る
者が
澤山ある、
私は
相手にせず
簡單に
何國かの
貿易港へ
漂着するとか、
兎角して
救助を
得られぬ
事もあるまいと
考へたのである。