“うとうと”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
疎々68.2%
昏々13.6%
現々4.5%
半醒4.5%
昏昏4.5%
疏々4.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼らとは思いのほか疎々うとうとしくなっている私の耳にも入っていたが、今は健康も恢復かいふくして、春ごろからまた毎日大阪の方へ通勤しているのであった。
蒼白い月 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お絹はもがき疲れてしばらく昏々うとうとと睡っていた。隣りのお婆さんもこの間に家の用を片付けて来たいといって帰った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と言った自分の声に、ふと目が覚めると……室内まのうち真暗まっくら黒白あやめが分らぬ。寝てから大分の時がったらしくもあるし、つい今しがた現々うとうとしたかとも思われる。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昼間歩行あるき廻った疲労つかれと、四五杯の麦酒ビイルの酔に、小松原はもう現々うとうとで、どこへ水差を置いたやら、それは見ず。いつまた女中が出てったか、それさえ知らず。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その目的が物盗りであったか、殺人であったかは審問の上で判りましょう。ところが主人はその時まだ眠らずに半醒うとうとしていたんです。ランプが消されていなかったのが何よりの証拠です。
見開いた眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
少し昏昏うとうとしたかと思ふとカテドラルの古塔の日曜の朝の鐘が枕の上へ響き渡つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
故無くして文三をはずかしめたといい、母親にさからいながら、何時しかそのいうなりに成ったといい、それほどまで親かった昇と俄に疏々うとうとしくなったといい、——どうも常事ただごとでなくも思われる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)