昏々うとうと)” の例文
其中そのうちにお腹もくちくなり、親の肌で身体もあたたまって、とろけそうない心持になり、不覚つい昏々うとうととなると、くくんだ乳首が抜けそうになる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お絹はもがき疲れてしばらく昏々うとうとと睡っていた。隣りのお婆さんもこの間に家の用を片付けて来たいといって帰った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたくし看病に参つてをります者でございますが、何方様どなたさまでゐらつしやいますか存じませんが、この一両日いちりようにち病人は熱の気味で始終昏々うとうといたして、時々譫語うはごとのやうな事を申して、泣いたり
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
夢心地にも狼狽あわてて又吸付いて、一しきり吸立てるが、じきに又他愛なく昏々うとうととなって、乳首が遂に口を脱ける。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)