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あはせめ
石疊で
穿下した
合目には、
此のあたりに
産する
何とかいふ
蟹、
甲良が
黄色で、
足の
赤い、
小さなのが
數限なく
群つて
動いて
居る。
男は
然程注意を惹かないが、
行交ふ女が
老も若きも引
擦る様な広い
裳を
穿いて、腰の下迄ある長い黒の肩掛を
一寸中から片手で胸の所の
合目を
抓んで歩くのが目に附く。
薄い
光線が
屋根板の
合目から
洩れて、
幽かに
樟に
映つたが、
巨大なるこの
材木は
唯單に
三尺角のみのものではなかつた。