“あだもの”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
婀娜者26.7%
婀娜女26.7%
仇者13.3%
阿娜者13.3%
阿娜女6.7%
婀娜物6.7%
婀娜的6.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もう黄昏時たそがれどきでよくわからないけれども、その女はこの辺にはあまり見かけない、洗い髪の兵庫結ひょうごむすびかなにかに結った年増の婀娜者あだもののように見える。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
立て膝してたぼをなでつける婀娜女あだもの、隅っこの羽目板へへばりついている娘、小おけを占領して七つ道具を並べ立てた大年増、ちょっとのすきにはいだして洗い粉をなめている赤ん坊
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その経歴が芸妓となったり、妾となったりした仇者あだものであったために、多くそうした仲間の、打解けやすい気易きやすさから、花柳界から弟子が集った。彼女は顔の通りに手跡しゅせきも美しかった。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
非常に身長せいの高い女で、よく言えばすらりとした、悪くいえば半鐘泥棒式の、しかし、前身が前身だけにいまだに凄いような阿娜者あだものだったが、このお美野にかぎって、若後家にもかかわらず
そこで初めて、吾にかえったように、あたりを見たが、不思議な阿娜女あだものは、いつの間にやら姿を消して、もうその部屋にはいなかった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
洗い髪に大絞りの浴衣ゆかたを着て、西施せいしいきにしたような年増の阿娜女あだものが、姿とはやや不調和な、りの勾欄こうらんに身をもたせて、不思議そうに美しい眼をみはっていた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柳橋やなぎばし左褄ひだりづまとったおしゅんという婀娜物あだものではあるが、今はすっかり世帯染しょたいじみた小意気な姐御あねごで、その上心掛の至極いゝたちで、弟子や出入ではいるものに目をかけますから誰も悪くいうものがない。
(不審立聴く)一個ひとり婀娜的あだもの、三枚がさね肩掛ショオルを着て縮緬ちりめんの頭巾目深まぶかなり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)