婀娜者あだもの)” の例文
春告鳥はるつげどり』の中で「入りきた婀娜者あだもの」は「つまをとつて白き足を見せ」ている。浮世絵師も種々の方法によってはぎを露出させている。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
もう黄昏時たそがれどきでよくわからないけれども、その女はこの辺にはあまり見かけない、洗い髪の兵庫結ひょうごむすびかなにかに結った年増の婀娜者あだもののように見える。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
甲走かんばしる声は鈴のよりも高く、静かなる朝のまちに響き渡れり。通りすがりの婀娜者あだものは歩みをとどめて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
納戸なんどへ入って、戸棚から持出した風呂敷包ふろしきづつみが、その錦絵にしきえで、国貞くにさだの画が二百余枚、虫干むしぼしの時、雛祭ひなまつり、秋の長夜ながよのおりおりごとに、馴染なじみ姉様あねさま三千で、下谷したや伊達者だてしゃ深川ふかがわ婀娜者あだもの沢山たんといる。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
折から磧の小屋よりあらわれたる婀娜者あだものあり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)