婀娜女あだもの)” の例文
その婀娜女あだものが、涼しい顔をしている間に、馬子や旅人たちは、寄ッてたかッて、次郎に気付薬きつけぐすりを与え、オ——イ、オ——イ、と呼ぶこと二、三度でありました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
立て膝してたぼをなでつける婀娜女あだもの、隅っこの羽目板へへばりついている娘、小おけを占領して七つ道具を並べ立てた大年増、ちょっとのすきにはいだして洗い粉をなめている赤ん坊
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それというのも、女房かかあ婀娜女あだものなせいにちがいない——そう考えて来てふと思いだしたのは、もう一週間経てば軍隊の方へ一ヶ月も召集されて、その間留守にせねばならぬことであった。
麦畑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
小褄こづまを下ろした襟掛えりかけ婀娜女あだものはどこまでも少し笑いを含んで、夏なら涼んでいるという形だ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)