)” の例文
はヽさまとならではおにもかじ、觀音かんのんさまのおまゐりもいやよ、芝居しばゐ花見はなみはヽさましよならではとこの一トもとのかげにくれて
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『まあ、ゆつくりなさいまし。表はお寒うございますから。』と、女房は愛想あいそうよく云つて、わたしの火鉢に炭を継いでくれたりした。
赤い杭 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
之に送つたバアトンの返事は、「先づ十ギニイ送金有之度これありたく、その上にて一冊御申込になるとも全十冊御申込になるとも勝手に候」
(お退きと云うに。——やあ、お道さんのおん母君、母堂、お記念かたみの肉身と、衣類に対して失礼します、御許し下さい……御免。)
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あれこそはひとりこの御夫婦ごふうふだいかざる、もっとうつくしい事蹟じせきであるばかりでなく、また日本にほん歴史れきしなかでのりの美談びだんぞんじます。
「今日はわてへ一人でツつおうの獨り占めや。……宮さんお手製の土筆つく/″\しの姉さんの佃煑まで頂いて、もう明日死なうと本望だすわい。」
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
畏れ多い事だが、かみにん御障おさはりさへなければ、日本国中、誰一人、死んぢやならねえといふ人間はねえんだ。畜生め、承知しねえぞ。
それより後方の甲板かふばん立食場りつしよくじやうは開かれ、案内致されし私は僧正の君の勧めにて、サンドウヰツチ、アイスクリイムなどの馳走を戴きさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
どうも本人自身が、ロスト・ワールドにあこがれているらしいところが大いにある。彼は、何時いつまでも童心を失わなかった人なのであろう。
定めし御聞込おんききこみの事とは存じそうらへども、杵屋おん家元様は死去被遊候あそばされそろそれつき私共は今日こんにち午後四時同所に相寄候事あいよりそろことに御坐候。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そうですかい。……金陵きんりょう(南京)のお生れで、そんなに諸国を歩きなすったか。そして、馬買いの叔父に死なれて、生業を
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、柾木の気持では、陰惨な人殺しに行くのではなくて、今彼は、十幾年も待ちこがれた、あこがれの花嫁を、お迎いに出かけるのだった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
コウカサスはエルブルュスのいただきにつながれましたるプロメシウスの弟パラシュウスと申す猛々しいお方でござります。
「松島さん、そんな旧傷ふるきずの洗濯は御勘弁を願ひます、まんざら御迷惑の掛け放しと云ふ次第でもなかつた様でわすから」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「別に仔細しさいはなかろうとは思いますがそう申せば大分お帰りがお遅いようだ。事によったらお屋敷で御酒ごしゅでも召上ってるのではざいますまいか。」
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
老いたる侍 (刀の血を拭ひ、鞘に納めながら、四下の人は眼にも入らざるが如く、つぶつぶと独語ひとりごつ。)……御先祖ごせんぞへの申訳ぢや……御、御
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
わたしに手を突いて御無心をなさる有様にお成りなすったかと、少し恵むと云う程な訳ではござりませんが、それから見ると御新造様なんぞは気楽で
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
バル すれば、何事なにごと大事だいじござりませぬ、ひいさまは御安穩ごあんのんにカピューレット代々だい/\のお墓所はかどころにおやすみ、ちぬ靈魂みたま天使てんしがたと一しょにござります。
もっとも此のお児のおふくろさまは長政公のいもうとでござりましたから、ひめぎみたちとはいとこ同士、おくがたは義理の伯母御におなりなされます。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
闘牛トウロスなんかもうめんだよ! 一度でたくさんだ。何だ! 一匹の牛を殺すのにああ何人も掛ったりして! ただ残酷というだけじゃない。あれあ卑怯だ。
朝飯になるというにおとよはまだ部屋へやを出ない。お千代が一人で働いて、家じゅうにぜんをたべさせた。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
御隠居さんとの字のつくのが石川氏の母親のことで、御の字のつかない方のが娘のために引きとられて楽隠居をしていた、湯川老人を捨てたお母さんであった。
「奥さんは死亡証明書を、持ってる。——あなたはそれを、らんになったと、おっしゃいましたね」
黄色な顔 (新字新仮名) / アーサー・コナン・ドイル(著)
間がよくば大藩たいはんに召抱へられるか、上樣の御師匠番にもなれる方だが、ちよいと氣の迷ひで一と口頬張つたばかりに、あの鳥モチのやうな女にへばり附かれて
さすがに姉は姉だけで、坊ばの顔のいかにも乱雑なのを見かねて「あら坊ばちゃん、大変よ、顔がぜん粒だらけよ」と云いながら、早速さっそく坊ばの顔の掃除にとりかかる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
東京でおやしきがお焼けになったかたもおありになりましたが、でもさいわいにいずれもおけがもなくておすみになりましたが、鎌倉かまくらでは山階宮妃やましなのみやひ佐紀子さきこ女王殿下が圧死になり
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「はいはい」と羽左衛門うざえもんおおきくうなずいた。「如何いかにももっともでございます。——では、ここはおかみさんにおねがもうして、つぎさがっていることにいたしましょう」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
神代の昔、天若日子あめわかひこと申したは、天の神々に矢を引いた罪ある者に御座ります、其すら、其、人の世になつても、氏貴い家々の娘ねやの戸までも忍びよると申しまする。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其建物そのたてものをいへば松田まつだ寿仙じゆせん跡也あとなり常磐ときは萬梅まんばい跡也あとなり今この両家りやうけにんまへ四十五銭と呼び、五十銭と呼びて、ペンキぬり競争きやうそう硝子張がらすはり競争きやうそうのきランプ競争きやうそう火花ひばならし候由そろよしそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
仲人親なこうどおやという位、若くしてこの世を早くした妹のためにも何かと由縁ゆかりがあるよう感じまして、右の義を師匠に話しますと、それは好い人を見つけた、早速頼むがよかろうというので
『さうであす。先刻さつきから貴方方のお出をお待ち申してゐたところであした。』
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さしいそがせられすでに伊豆守殿御屋敷おやしき御玄關おげんくわんへ懸て奉行ぶぎやう越前守伊豆守殿へ内々ない/\御目通おめどほり致度と申入るに取次の者此趣このおもむきを申上ければ伊豆守殿不審ふしんに思はれ奉行越前は昨夜さくやの内に御役おやく御免を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今年かしこくも即位の大典を挙げさせたまふ拾一月の一日いちじつに、この集の校正を終りぬ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
と、ばれ、だいひいきものでした。それは背中せなかをぐいとたかくしたり、のどをごろごろらしたりぎゃくでられるとからことまで出来できました。牝鶏めんどりはというと、あしがばかにみじかいので
ついては壹岐いき様から斯様かよう々々の伝言で、お手紙はれですからお届け申すと丁寧にしたためてって、ソレカラ封をせずに渡したすなわ大橋六助おおはしろくすけあてた手紙を本人に届けるめに、私が手紙を書添かきそえて
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
でもね、小父さん、大変なのよ、もしどうあっても道人様が、江戸へおいでにならなければ、山影様は云うまでもなく、水戸様はじめまで、いえいえ徳川譜代大名、一統の恥辱になるそうで。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「そこに枕もございますから、ゆっくりお休みなさいませ」
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「ほららんなさい、もう風邪を引いてしまったんですよ。」
果樹 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
アルカージナ まあ親切にね。ポリーナさん。
「しかし、乳母ぐるまなんておやす用さ。」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そう申せば姫君も、幼馴染のあなた様が無事でいらっしゃると御聞きになったら、どんなにか御喜びになる事でございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それぞれ御用ごようちがうので、平生へいぜい別々べつべつになっておはたらきになり、たまにしかしょになって、おくつろあそばすことがないともうします……。
其処そこを出た自分等夫婦は杜鵑とけん亭を存じでないやうに伺つた松岡曙村しよそんさんに晩餐をそのうちげることに同意して頂いた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「何んともハイしんせつに言わっせえて下せえやして、お庇様かげさまで、わし、えれえ手柄てがらして礼を聞いたでござりやすよ。」
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「玉藻のか」と、清治は声をかけると、あたりは急に明るくなった。その光りは花のうたげのゆうべに、玉藻の身から輝いたのと同じように見えた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「ごもっともだ。そこをっても言いかねるが、梁山泊一の浮沈です。なんとか、母にご得心はいただけまいか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「朱泥は呈上可仕候つかまつるべくそうろう唐墨の方は進呈致兼候いたしかねそうろうあいだ存分ぞんぶん試用の後御返送を願上候ねがいあげそうろう」というのである。当然のことである。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
一人で御留守番でもしていらっしゃる時は、わたくしの処へでもおいでになって呑気のんきに馬鹿ばなしでもして、気をお晴らしなさる方がようざんすよ。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
成善しげよしが海保の塾にった後には、海保竹逕ちくけいしばしば渋江氏に警告して、「大分蔵書印のある本が市中に見えるようでございますから、御注意なさいまし」
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
で、松島さん、私共わたくしどもは此際ですから、決して特別の御取扱を御願致す次第ではわせん、だ郵船会社同様に願ひたいので——本来を申せば郵船会社の如き
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)