麦秋むぎあき)” の例文
旧字:麥秋
麦秋むぎあきである。「富士一つうづみ残して青葉あをばかな」其青葉の青闇あおぐらい間々を、れた麦が一面日のの様に明るくする。陽暦六月は「農攻のうこう五月ごげつ急於弦げんよりもきゅうなり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
芭蕉の名句「何にこの師走しわすの町へ行くからす」には遠く及ばず、同じ蕪村の句「麦秋むぎあきや何に驚く屋根のとり
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
麦秋むぎあきだ。一年に二度ずつ黄色くなる野面のらが、私達の両側にあった。既に刈取られた麦畠も多かった。半道ばかり歩いて行く途中で、塩にした魚肉の薦包こもづつみを提げた百姓とも一緒に成った。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
麦秋むぎあきだ。毛野川の河原畑は、もう真ッ黄色だ。刈入れして来い」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寛永十九年四月二十一日は麦秋むぎあきによくある薄曇りの日であった。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
麦秋むぎあきや狐ののかぬ小百姓
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
祝賀は麦秋むぎあきの頃にさへ及んだのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
麦秋むぎあきや何におどろく屋根のとり
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
麦秋むぎあきや狐ののかぬ小百姓
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)