鳴咽をえつ)” の例文
われはサンタに向ひ居て詩稿を讀み始めしに、未だ一篇を終らずして、情迫り心激し、われは鳴咽をえつして聲をぐことを得ざりき。サンタは我手を握りて、我と共に泣きぬ。
怪我人けがにん醫者いしやまへると恐怖きようふおそはれたやうににはか鳴咽をえつした。醫者いしやよこふくれたおほき身體からだでゆつたりと胡坐あぐらをかいたまゝ怪我人けがにんひだりまくつてた。怪我人けがにん上膊じやうはく挫折ざせつしてぶらりとれてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)