ひらめ)” の例文
十八貫のおひらめ、三貫のまぐろふか、その他大物を狙ふのは、徒らに骨が折れて、職釣としては効果的であるが、遊釣としては適度でない。
日本の釣技 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
「十三人!」たしかに、全員が、入口に近い壁際かべぎわに、ひらめのように、ピッタリ、附着しているのであった。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
めんくらってペタッとひらめのようにお辞儀をした小圓太はしばらくしてソッと頭を上げてみると、まだ師匠はお辞儀をしていた。あわてて小圓太はまたお辞儀をつけ足してしまった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
一番すきだったのは、うなぎと寿司だった。元園町時代は近くもあるし、丹波屋が御贔屓ひいきだった。魚は、まぐろだとか鯛とか云う大きなものより、キスとかコチとかひらめとかの、近海ものの小魚がよかった。
解説 趣味を通じての先生 (新字新仮名) / 額田六福(著)
下女に云付又七がめししるちやなどへれて毎日々々もちひしとぞ彼の長助も此事をきゝしかば又七へも密かに告置つげおきおのれ隨分ずゐぶん心を付ると雖も大勢おほぜいにて爲る事なれば何時いつの間に入けるや知らざれども或時あるときひらめ切身きりみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
付て油斷ゆだんがならず何卒なにとぞ御迷惑ごめいわくながら御同道下さらば丁度旦那樣の御供の樣にて惡漢わるものつく氣遣きづかひなく心丈夫に存じますといふに後藤は見向みむきもせず夫は貴樣の勝手次第かつてしだいにといひはなし一向構はず行中ゆくうちにはや戸塚の棒鼻ぼうはなへ入りたるに或料理屋の勝手かつてかつを佳蘇魚まぐろひらめの數々の魚見えければ後藤は一杯やらんと此家このやに入てさけさかな
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)