かばね)” の例文
夕暮になりて幸助の帰りこぬに心づき、驚きて吾らもともに捜せし時はいうまでもなく事遅れて、哀れのかばねは不思議にも源叔父が舟底に沈みいたり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
当時の制度は、木刀を佩びて途に死するものは、かばねを非人に交付することになつてゐたからである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
申な此方にも聞込し儀も有ぞ有體ありていに申立よと申さるゝに周藏木祖兵衞の兩人は其女のかばねあらためし處身肉に疵等きずとうは御座らねども只二の腕に安五郎二世と彫物ほりものが御座候と申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
リュデスハイムは、かねてカルパトス島(クリート島の北方)の妖術師レベドスよりして、ヴェニトシン向気こうきの事を聴きいたれば、ただちにこうべを打ち落し、かばねとともに焚き捨てたり——と。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
敵のしるしを揚げた時は、かばねは上衣に包んで泉岳寺に持参すること、子息のしるしは持参におよばず打捨てること、なお味方の手負いは肩に引懸け連れて退くことが肝要だが、歩行難渋なんじゅうの首尾になれば
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
折り伏せる人のかばねのうめき
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)