風流ふうりゅう)” の例文
流れるもののなかに、魂まで流していれば、基督キリストの御弟子となったよりありがたい。なるほどこの調子で考えると、土左衛門どざえもん風流ふうりゅうである。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
行きすりに不図目にとまった馬子まご風流ふうりゅうたわらに白い梅の枝がしてある。白い蝶が一つ、黒に青紋あおもんのある蝶が一つ、花にもつれて何処までもひら/\飛んでいて行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
繰り残した雨戸のあいだから、庭に面した奥座敷に招じあげられた源三郎、見まわすとそこは、落ちついた風流ふうりゅうな部屋で、武芸者の寮とは思われない、静かな空気が流れている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そうそう風流ふうりゅうな、さしいあそびもすこしはありました。それはしゅとして能狂言のうきょうげん猿楽さるがくなどで、家来達けらいたちなかにそれぞれそのみち巧者こうしゃなのがりまして、私達わたくしたち時々ときどき見物けんぶつしたものでございます。
「ああ、実によく似ている。それでその頃は維新にはもある事で、世の中もおだやかであったのみならず、役が御留守居だから、だいぶ金を使って風流ふうりゅうをやったそうだ」
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
風流ふうりゅうべに
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)