頸環くびわ)” の例文
「むむ、いかにも無心に遊んでるのが可愛かあいい」といいながらふと見ると、白には頸環くびわが附いている。黒斑の頸には何もない。
一日一筆 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そうした犬を両親にしてパトラッシュは生れました。彼は悪罵あくばと鞭とに育てられ一疋前いっぴきまえの犬となる前にすでに荷車を挽く擦傷すりきずのいたさと、頸環くびわの苦しみを味いました。
色沢いろつや、飼育ぶり如何を審査するにあったから、手に入れた犬を秘し隠しておく必要は毛頭もなかったとはいえ、その翌る日からは早速この仔犬に銀の頸環くびわと銀の鎖とを付けて
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
もみの木影に横たわっては、日光に透きとおってる手をながめ、細やかで豊かな腕のなめらかなはだを、何心なくくちびるでなで回した。つたの葉やかしの葉で、冠や頸環くびわや長衣をこしらえた。
「見せな。」と渠を引寄せて頸環くびわに結べる紙片かみきれを取り、灯影ほかげに透かして、読めばいわく
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その翌日から妾宅には、赤い頸環くびわに飾られた犬が、畳の上にいるようになった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
きん頸環くびわをまゐらせう。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
真珠の頸環くびわ、どの花も
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
鈴を頸環くびわ櫻草さくらさう
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)