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面痩
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おもやせ
にぎしき家の外にも
淋敷こゝの庭木にも
夜一夜木枯の吹あれて、あくるあしたよりあわれ父翁の
面痩目にたちぬ。
可哀や我故
身形も
構はず
此寒空に
袷一ツ寒き樣子は見せねども此頃は苦勞の故か
面痩も見えて
一入不便に思ふなり今宵は
何方へ行しにや最早
初更近きに
戻り
來ねば晝は身
形の
窶然く金の
才覺にも出
歩行れぬ故夜に入て才覺に出行しか女の夜道は
不用心若惡者に
出會はぬか
提灯は持ち行しか是と云も皆我が身の
在故なり
生甲斐もなき身を