青痣あおあざ)” の例文
死骸の帯をゆるめて、双肌もろはだ脱がせると、背から尻へかけて、一面の青痣あおあざ、それに相応して着物の破れなどのあるのを確かめると
もう一度怒り立ったアランの一撃が、ウェンデルの鼻柱へ飛んで、見る間にウェンデルの横鬢から小鼻へかけては醜く青痣あおあざを拵えてれ上った。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
まだ三十がらみの壮者だが、顔いちめんの青痣あおあざへもってきて赤いまだらひげ無性ぶしょうに生やし、ふさ付きの范陽はんよう笠を背にかけて、地色もわからぬ旅袍たびごろも
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのかわり、夢中になって、じぶんの腕をつねっていたので、そこんところに大きな青痣あおあざができましたわ。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
三十二三で、左の眼尻から頬へかけて、べったりと青痣あおあざがあり、眼に陰険な光がある。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
人々は怪我けが人の世話にかかった。村人のうちには、歯のかけた者、肋骨ろっこつの折れた者、こぶ青痣あおあざができた者があるばかりで、大した害も被っていなかった。しかし兵士らの方はそうでなかった。
「おい、用心しろよ。青痣あおあざがまた、ヘンなことを言いだしたぜ。小便する間もオチオチしていられねえほど、歩け歩けとかついている奴がよ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
九郎助は灯から顔をそむけるように、ただおろおろと弁解するのです。見る影もない中老人で、半面に青痣あおあざのある、言葉の上方訛かみがたなまりも妙に物柔らかに聞えます。
ねえ、タヌ君、もし雪崩なだれに押し落とされて、下の岩角でお尻をぶったらどうするつもりだね。そんなところへ青痣あおあざをつけて、どうしてのめのめ日本へ帰られるものか。
平次はちょっと眉をひそめました。頭に受けた傷が命取りだったに相違ありませんが、その他、肩に打撲うちみが一ヶ所、これは背中へかけて大きく青痣あおあざになっております。
権之助がふと仰ぐと、向いの崖の上に、左の眼の上にれ上がった青痣あおあざのある山伏の顔が見えた。その痣は、ゆうべ金剛寺の渓川たにがわから、伊織の投げた石つぶてを、直ぐ二人に思い起させた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その青痣あおあざのような顔面は、酔うほど一そう青く見える。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)