青海波せいかいは)” の例文
その手のこんだ細工の波がたは、箏のふちを、すっかりとりかこんでいるのだった。彼女はこの箏に「青海波せいかいは」の名を与え、青い絃を懸けた。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
狼籍ろうぜきたりし竹の皮も紙屑も何時いつの間にかはきられて、水うちたる煉瓦の赤きが上に、青海波せいかいはを描きたる箒目ほうきめあと清く、店の日除ひよけや、路ゆく人の浴衣ゆかたや、見るものことごとく白きが中へ
銀座の朝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
衣絞えもんあかるく心着こゝろづきけむ、ぎん青海波せいかいは扇子あふぎなかばほたるよりづハツとおもておほへるに、かぜさら/\とそよぎつゝ、ひかり袖口そでくちよりはらりとこぼれて、窓外さうぐわいもりなほうつくしきかげをぞきたる。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)