青光あおびかり)” の例文
そして、次第に近づいて来るのを見ていると、その姿はどうも女らしかった。長い青光あおびかりのする頭髪かみは乱れて、それが肩になびいているように見えて来た。
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それがせめてもの思遣おもいやりに見えたけれども、それさえ、そうした度の過ぎた酒と色に血の荒びた、神経のとげとげした、狼の手で掴出された、青光あおびかりのするはらわたのように見えて
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこからはばの広いみちが、まっすぐに銀河ぎんが青光あおびかりの中へ通っていました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ちょうど仲店の街路とおり中央なかほどになったところで、右側の横町から折れて来て眼の前に来た女の子があった。それはかの小女こむすめであった。青光あおびかりのするような友禅ゆうぜん模様の羽織はおりの模様がはっきり見えた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
本堂青光あおびかりして、はたたがみ堂の空をまろびゆくに、たまぎりつつ、今は姉上を頼までやは、あなやと膝にはいあがりて、ひしとその胸をいだきたれば、かかるものをふりすてむとはしたまわで
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
本堂青光あおびかりして、はたたがみ堂の空をまろびゆくに、たまぎりつつ、今は姉上を頼までやは、あなやとひざにはひあがりて、ひしとその胸をいだきたれば、かかるものをふりすてむとはしたまはで
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それは眼と眉の間の晴ばれとした、そして、眼にしっとりとしたうるおいのある水の中へ飛びこんだ小女こむすめであった。その羽織はおり鮮麗あざやか青光あおびかりのする友禅ゆうぜん模様の羽織はおりであった。彼は箸をり落した。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)