雜俳ざつぱい)” の例文
新字:雑俳
「浪人の北田淺五郎樣、やつとうの先生ですが、やつとうより雜俳ざつぱいが上手で、若旦那と無二の仲でしたよ。今晩もお通夜に見えてゐますが——」
雜俳ざつぱいもやる、ことに芝居狂氣きちがひが大變で、素人芝居をして何百兩と費ひ込んだり、ひいきの役者に引幕を送つたり
何しろ一國者で、かせぐより外に道樂のない百兵衞から見ると、揚弓、雜俳ざつぱいから茶屋遊びと、道樂強い若旦那の仕打が氣に入らなかつたのも無理はありません。
叩き伏せて、キリキリと縛ると、それは何んと、一番無害むがいらしく見えた、丸木屋の次男で、意氣事と雜俳ざつぱいに浮身をやつして居る、若旦那の雪之助ではありませんか。
これは主人と同年輩の三十五六ですが、雜俳ざつぱいも、小唄も、嘘八百も、仕方噺しかたばなしも、音曲もいける天才的な道樂指南番で、七平におとらず伽羅大盡に喰ひ下がつて居ります。
有り餘る身上しんしやうようしながら、當主の丹右衞門は女道樂から、書畫道樂普請道樂、揚弓から雜俳ざつぱい、小唄三味線の諸藝に至るまで、あらゆる道樂に凝つて稼業が面倒臭くなり
母屋からは廊下續きになつて居る小さい二階家の離屋に住んで、雜俳ざつぱいに凝つたり、笊碁ざるごを打つたり、時間をつぶすのにばかり苦勞すると言つた、まことに結構な身の上だつたのです。
意氣事と雜俳ざつぱいとにその日を暮す、雪江ゆきえといふ筆名ひつめいに相應しい結構な若旦那でした。
雜俳ざつぱい楊弓やうきう、香道から將棋しやうぎまで、何一つ暗からぬ才人さいじんで、五年前先代から身上を讓られた時は、あの粹樣すゐさまでは丸屋の大身代も三年とはつまいと言はれたのを、不思議に減らしもせず
かう紫に棚引く煙草のけむりを眺めて、考へごとをするでもなく、春の光にひたりきつてゐる姿は、江戸開府以來の捕物の名人といふよりは、暮しの苦勞も知らずに、雜俳ざつぱいの一つも捻つてゐる
隱居の忠左衞門は、商賣の道に明るい上に、道話仕込みの理窟が強く、雜俳ざつぱいなどをもてあそんだこともあるので、なか/\の物識りでもあり、その上健康で色好みで、容易ならぬ人物でもありました。
四十五六のさかんな年頃ですが、ひどい跛者びつこで蒼白くて、二本差としてモノの役に立ちさうもありませんが、雜俳ざつぱい席畫せきぐわ得手えてで、散らしを描いたり、配り物、刷り物の圖案をしたり、代作、代筆
相手は町内でも人に立てられる三好屋の隱居、十とくまがひの被布ひふかなんか着て、雜俳ざつぱいに凝つて居ようといふ仁體じんていですが、話が不意だつたので、平次はツイ梅干を聯想れんさうせずには居られなかつたのです。