陀仏だぶつ)” の例文
旧字:陀佛
あれからすぐ病院へかつぎこんだのよ。けどその時はもう駄目だったのね。お小水が詰まって、三日目にお陀仏だぶつになってしまったの。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「手をはなせば、人を落とすまえに、じぶんのからだがお陀仏だぶつだぞ。ざま見やがれ、唐変木とうへんぼく、突きとばせるものならやッて見ろ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せっかくがんばって、ここまで怪塔ロケットについて来た青江機も、いよいよお陀仏だぶつになるときが来たかのようでありました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
爆発を待つまの恐怖、全く此奴は言葉も呼吸も思念もとまる。愈々いよいよ今度はお陀仏だぶつだという絶望が発狂寸前の冷たさで生きて光っているだけだ。
白痴 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「やれやれ、これでどうやら一巻の終りになったが、かわいそうに、たたき込まれてお陀仏だぶつになったらしい船頭親子——」
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「まず何よりも、」とレーグルはさえぎった、「何とかうまい賛辞のうちにブロンドーをお陀仏だぶつにしてやりたいんだ。奴を死んだ者と仮定する。 ...
で、誰かが、例えば君の部下が、あすこへ這入ろうとすれば、第一ドアが開かぬし、仮令それを叩き破っても、妙子さんのピストルで、お陀仏だぶつ。と云う訳なのです
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
おい武田君、君は相かわらずのろくさい巡洋艦の設計をやっているのかい? よせ、よせ、君のこしらえた巡洋艦なんか、僕の爆撃機にかかったら三分間でお陀仏だぶつだよ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
トテモ明日あすの今頃には、お陀仏だぶつになっている人間とは思えないだろう。……アハハハ……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうとも知らずうかうかここまでやってきたのは、飛んで火に入る虫けら同然だ——さ、神様のお名前でも唱えろ、五ツ勘定する内に貴様はお陀仏だぶつだぞ※ いいか、一ツ二ツ三ツ……
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
実に盛大な喀血かっけつをしたのである。身体の調子がどうもおかしいとは思っていたが、肺がそんなに悪くなっているとは知らなかった。これで俺もお陀仏だぶつか。病院にかつぎこまれた俺は
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「おまえは、もうお陀仏だぶつだ。いよいよ順番がまわってきたぞ」と言ったかとおもうと、氷のようなつめたい手で、お医者を、てむかいすることもできないようにあらあらしく引っつかんで、地面の下の
大雪の重さはあるし、やつは、屋根裏のはりされて、寝たまんまのお陀仏だぶつとなったに相違ありません。林冲にとれば、まあいい往生でさあね
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうだとも、旗本八万騎が何だい、旗本がすっかり骨無しになっちまったから、浪人がのさばるんだな、徳川の世も、こうなっちゃいよいよお陀仏だぶつだ」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ああ待ってもらいましょう。扉をあけりゃ、そこから水がどっと入ってきて、われわれはたちまちお陀仏だぶつだ」
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ホラね、もしあの木切れが、本当の刀だったらどうです。あの小猿、とっくにお陀仏だぶつですよ」
目羅博士の不思議な犯罪 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
……吾輩、思わずゾッとして胸がドキンドキンとしたもんだよ。多分、水面下でお陀仏だぶつになりかけていた芸者の髪の毛だったろうと思うんだが、今思い出しても妙な気持になる。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「戸板にのせて持ってきてやったのだが、それじゃ、手当てをする者もねえだろう。もっとも、どうせお陀仏だぶつになることは、相場がきまっている怪我人けがにんだがネ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あっけないもんだなあ。さすがの悪党も、これでお陀仏だぶつか。ウフフフ、じゃあ、これからきみのおさしずに従って、絶対に処罰されない手段にとりかかることにするよ」
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
(これは、たいへん、うっかり眠ろうものなら、お陀仏だぶつになってしまうぞ!)
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「じゃあ、もうお陀仏だぶつになっているんで?」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「とうとう自分でお陀仏だぶつになったか」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)