関白かんぱく)” の例文
旧字:關白
みのりの秋は、秀吉に来たのである。秀吉はこの夏、大きな収穫をやった。それは、関白かんぱくとなり、初めて、豊臣姓とよとみせいてたことである。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その厨子は先代の喜左衛門が紀伊家から賜わったのだが、作られたのはおよそ七百年まえであり、関白かんぱく藤原のなにがし家の調度だった。
落葉の隣り (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
或いは摂政せっしょう関白かんぱくの位におのぼりになりまして、従って、あなたが大名公家に立身なさろうとも、それは、あなたの幸福ではありませんよ。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
殊に相手はおいと云っても、天下のいちひとであり、昭宣公の跡を継いで摂政せっしょうにも関白かんぱくにもなるべき人であるのが、さすがに骨肉こつにくの親しみを忘れず
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「はははは、法性寺入道前ほうしょうじのにゅうどうさき関白かんぱく太政大臣だじょうだいじんと言ったら腹を立ちやった、法性寺入道前の関白太政大臣様と来ている。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
幕府の老中らは宮様の御降嫁をもって協調のじつぐるに最も適当な方法であるとし、京都所司代の手を関白かんぱくを通して、それを叡聞えいぶんに達したところ
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あるいは「執権しっけん」という名の人、あるいは「関白かんぱく」という名の人たちによって、握られてきた。
度々の彼の忠誠に、朝廷におかれても、御感悦ごかんえつはいうまでもなかったが、関白かんぱくの近衛前嗣さきつぐなどは、ひそかに彼のために案じて
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中御門なかみかどの北、堀川の東一丁の所にあった時平の居館の名で、当時時平は故関白かんぱく太政だじょう大臣基経もとつね、———昭宣公しょうせんこう嫡男ちゃくなんとして、時のみかど醍醐だいご帝の皇后穏子おんしの兄として、権威並びない地位にあった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
また、昔から、天皇は、主権者ではなかったということは、「摂政せっしょう」とか、「関白かんぱく」とか「左右大臣さうだいじん」とかいう名称が、空名としてながく継続していたのと同じ歴史を、天皇制はもっていたのである。
「こんど、関白かんぱくになられた、大坂城のあるじに訊いてみられたらどうじゃ」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関白かんぱくです。いっそ、関白にお就きになったらよいではありませんか」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)