長江ちょうこう)” の例文
これは三年前支那に遊び、長江ちょうこうさかのぼった時の紀行である。こう云う目まぐるしい世の中に、三年前の紀行なぞは誰にも興味を与えないかも知れない。
長江游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
生田長江ちょうこう氏の「超人の哲学」、阿部次郎氏の「三太郎の日記」は来月号できつと紹介いたします。あしからず。
また、呂蒙りょもうの意見を容れて、濡須じゅしゅ安徽省あんきしょう巣湖そうこ長江ちょうこうの中間)の水流の口から一帯にかけて、つつみを築いた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月下白光三千里の長江ちょうこう、洋々と東北方に流れて、魚容は酔えるが如く、流れにしたがっておよそ二ときばかり飛翔して、ようよう夜も明けはなれてはるか前方に水の都
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)
なにかの商売用で長江ちょうこうをさかのぼってしょくへゆくと、成都の城外——と言っても、六、七里も離れた村だそうですが、その寂しい村の川のほとりに龍王廟というのがある。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この森林の美というものが天下に類がないね……もっとも、ここに天下というのは日本のことだよ、日本だけのことだよ、同じ天下でも支那のことは知らねえ、崑崙山こんろんさんや、長江ちょうこうの奥なんぞは知らねえ
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
夜、牛込の生田長江ちょうこうと云うひとをたずねる。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
燕山楚水えんざんそすい蘇浙小観そせつしょうかん北清ほくしん見聞録、長江ちょうこう十年、観光紀游、征塵録せいじんろく、満洲、巴蜀はしょく湖南こなん漢口かんこう支那風韻記しなふういんき、支那——
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
悲心ひしん長江ちょうこう刑旅けいりょにつけば
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕は当時長江ちょうこうに沿うた大抵の都会に幻滅していたから、長沙にも勿論豚の外に見るもののないことを覚悟していた。
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
赤濁あかにごりに濁った長江ちょうこうの水に、まばゆ水脈みおを引いたなり、西か東かへ去ったであろう。その水の見える波止場はとばには、裸も同様な乞食こじきが一人、西瓜すいかの皮をじっている。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
至順しじゅん年間の事である。長江ちょうこうに臨んだ古金陵こきんりょうの地に、王生おうせいと云う青年があった。生れつき才力が豊な上に、容貌ようぼうもまた美しい。何でも奇俊きしゅん王家郎おうかろうと称されたと云うから、その風采ふうさい想うべしである。
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)