“至順”の読み方と例文
読み方割合
しじゅん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
至順しじゅん年間に、わたしは友人と葬式を送った。その葬式の銘旗に「答刺罕タラカン夫人某氏」としるされてあるのが眼についた。答刺罕は蒙古語で、訳して自在王というのである。
至順しじゅん年間の事である。長江ちょうこうに臨んだ古金陵こきんりょうの地に、王生おうせいと云う青年があった。生れつき才力が豊な上に、容貌ようぼうもまた美しい。何でも奇俊きしゅん王家郎おうかろうと称されたと云うから、その風采ふうさい想うべしである。
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)