鏘然しょうぜん)” の例文
それが、何かの時、鏘然しょうぜんと光って出ると、人はすぐ天稟の才能だという。——つとめない人が自ら懶惰らんだをなぐさめてそういうのですよ
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、鏘然しょうぜんたる大刀の音がしたが、見れば二本の白刃が、しまを織っている日光の中に、鍔迫つばぜり合いをなしていた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
きらめく黄金は、美女の肌を洗って、床に、壁に、窓に、鏘然しょうぜんと鳴ります。
黄金を浴びる女 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
蜘蛛の囲の虫晃々きらきらと輝いて、鏘然しょうぜん珠玉たまひびきあり。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小太刀かと見えたが、それは銀磨ぎんみがきの十手である。もぎりへすべりこんだ孫兵衛のやいばが、鏘然しょうぜんとして火を降らした。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
キラリと夜空へ円が描かれ、続いて鏘然しょうぜんと音がした。パッと散ったは火花である。切り込んで来た敵の太刀を、抜き合わせた結城旗二郎、受けて火花を散らしたのである。
怪しの館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鈴江が針をふくもうとした時に、裏庭のかなたの小門の辺から、鏘然しょうぜんと太刀音が聞こえて来た。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
助九郎の刀が神霊を現わしたように、鏘然しょうぜんと、刃金はがねの鳴りを発したのである。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
瞬間に鏘然しょうぜんたる太刀の音! つづいて大きく星空に、一つの楕円が描かれた。すなわち一式小一郎が敵の刀を払い落とし、身を翻えすと片手切り、大刀宙へ刎ねたのである。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いかにしてこの二度と抱きしめることのできない生命いのちとの余儀なきわかれにも、そのいのちに意義あらしめるか——価値あらしめるか——捨てるまでも、鏘然しょうぜんとこの世に意義ある生命の光芒こうぼうを曳くか。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、鏘然しょうぜんたる太刀の音、はじめて広太郎抜き合わせ、危く鍔際つばぎわで受けたらしい。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、伊織の幼い精神の中にも、鏘然しょうぜんと、火華ひばなが発しるのだった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうだ! いや! 斃れなかった! ただ鏘然しょうぜんたる音ばかりがした。夢中で小次郎が持っていた刀を、頭上へ高く捧げたため、斬り付けた北条美作の刀が、鍔で意外にも受けられたのである。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
双方のつばへ——鏘然しょうぜんとして、まッ青な火が降った。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二合目の太刀、また鏘然しょうぜん、音を立てて火花が散り、つばぜり合いになったとたん、「しまった」という声が突っ走った。同時に一つの黒い影、もろにうしろへ飛びしさったがヒューッと何か投げつけた。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その時鏘然しょうぜんと太刀音がした。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鏘然しょうぜん太刀音
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鏘然しょうぜん
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鏘然しょうぜん
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)