鎧師よろいし)” の例文
美雲の父は鎧師よろいしで、明珍みょうちん末孫ばっそんとかいうことで、明珍何宗とか名乗っていて、名家の系統を引いただけに名人肌の人でした。
そもそも、てまえが、都から弟子共でしどもをひきつれて、ここに部落を開いたのも、良持様のお招きに依るのです。この地方には、よい鎧師よろいしひとりいない。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
染屋、革はぎ、飾り師、小札こざね鍛冶、弓師、鎧師よろいしなど、すべて武具の一大工廠こうしょうともいえる職人町の横丁だった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「たれかの紹介状でもあればなおよろしいが。——そうそう月ヶ瀬に此方このほうの懇意にしている鎧師よろいしで柳生家へも出入りしている老人がある、なんなら頼んであげてもよいが」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のべつ戦士の具足修繕をしていた鎧師よろいしであったから、次第に主家と共に、彼女も阿波へ移って落着く身となったわけであるが、老年まで良人の前身や太閤様のことについては
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鍛冶かじ塗師ぬりし鎧師よろいしなどの工匠たくみたち、僧侶から雑多な町人や百姓までが——その中には被衣かずきだの市女笠いちめがさだのの女のにおいをもれ立てて——おなじ方角へ、流れて行くのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だがその町中で、しきりと今を楽しんでいるような繁昌はんじょうを示しているのは鎧師よろいしとか、塗師ぬしとか、染屋とか、鍛冶かじとか、馬具屋とかいう類の軍需品ぐんじゅひんをうけっている工商の家々だった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、広い世の中には、誰か真を知っている者がどこかにあるもので、ここに、阿波あわ徳島の蜂須賀はちすか彦右衛門家政いえまさのお抱え鎧師よろいしに、柾木宗一まさきそういちという者があったが、この宗一の母の口から、ふと
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鎧師よろいし春斎しゅんさいの娘であったな。……もう人妻となったとみえる」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)