鉄鎖てっさ)” の例文
旧字:鐵鎖
翌日よくじつ見まわると、ロボの足跡あしあとはわなからわなへと続いていたが、わなはみなほじり出されて、鉄鎖てっさ丸太まるたもむきだしになっている。
広い庭の隅に、何を建増するのか、運動選手のように背中に番号をつけた囚人達が、足につながれた鉄鎖てっさの音をさせながら働いていた。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
おそろしい顔だ、太い鉄鎖てっさでつながれている囚人だ。極悪ごくあくの人間なのであろう。なんというおそろしいことだ。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして人々は今、形式の桎梏しっこくに悩んでいる。これから解放されなければ——即ちこの鉄鎖てっさをたたなければ、そこにほんとうに新しい新人生は生まれて来ない。
童話に対する所見 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここにいよいよ別れることのできない宿業の鉄鎖てっさをもってつながれる運命とはなったのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
右手はるかに海がえ、やがて断崖だんがいの上に張りめぐらした鉄鎖てっさらしいものが眼に入ってきます。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
あるいは生身なまみ鉄鎖てっさにつなぎ、開封かいほうの都まで差立てましょうや、この一事も至急お使いをつかわし、お父君の大臣府へ伺いを立てれば、お父君も大そう面目をほどこし、かつまた
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巨大な鉄鎖てっさ連環れんかんがたえまなくめぐり旋り近づいて来るので、戦闘力の鋭角はどこにあるかといえば、そうしているまに敵の先陣と体当りした所がすぐそのまま鋭角となるものだった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄徳の心は、飛び立つほどだったが、身は鉄鎖てっさに囲まれていた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鉄鎖てっさじん
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)