道楽者どうらくもの)” の例文
長造は、弦三のことを、色気いろけづいた道楽者どうらくものののしったことを思い出して、暗闇の中に、冷汗ひやあせをかいた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あさっぱらの柳湯やなぎゆは、町内ちょうないわかものと、楊枝削ようじけずりの御家人ごけにん道楽者どうらくもの朝帰あさがえりとが、威勢いせいのよしあしをとりまぜて、柘榴口ざくろぐちうちそととにとぐろをいたひとときの、はじ外聞がいぶんもない
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
一同いちどうは、このひとのことを道楽者どうらくものだと、よくいわなかったけれど、かれには、いつもおもいやりのある言葉ことばをかけてくれたし、おこったかおせなかったので、なんとなくしたわしくおもわれました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
あなたはそれで斎藤を自由に扱いこなした。……女が出来たのは、あなたのせいじゃない。斎藤が勝手に作ったんだけれど、それは道楽者どうらくものの斎藤のことだから、いつだって起りうることだったわ。
断崖 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)