貴方等あなたがた)” の例文
どうも貴方の御話は私に合点がてんが行きません。だつて、左様さうぢや有ますまいか。なにも貴方等あなたがたのことを私が世間の人に話す必要も無いぢや有ませんか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『サア、今度こんど貴方等あなたがた順番じゆんばんです、日本につぽん代表者だいひやうしやとしてなにかおやりなさい。』とわめく、滿塲まんじやう一度いちど拍手はくしゆした。
『おゝ、松島海軍大佐まつしまかいぐんたいさよ、濱島武文君はまじまたけぶみくんよ、春枝夫人はるえふじんよ、貴方等あなたがた喜悦よろこびにまで、少年せうねん無事ぶじです、無事ぶじです※。』
如何いかんせん、素養は無し、貴方等あなたがたのやうに規則的な教育をけたでは無し、それで此の生存競争の社会よのなかに立たうといふのですから、勢ひ常道を踏んでは居られなくなる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
はるかに日本につぽんそらながめて、はや孤島こたう出發しゆつぱつして、一日いちにちすみやかに貴方等あなたがた再會さいくわいしたいと待望まちのぞんでことでせう。
今日あの先生と郡視学とで僕を呼付けて、「何故なぜ瀬川君は彼様あゝ考へ込んで居るんだらう」と斯う聞くから、「其は貴方等あなたがたも覚えが有るでせう、誰だつて若い時は同じことです」
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)