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もらっ
中津に
一人の女乞食があって、馬鹿のような
狂者のような
至極の
難渋者で、自分の名か、人の付けたのか、チエ/\と
云て、毎日市中を
貰て
廻わる。
役所よりの
帰途、予が家に
立寄り、今日
俸給を受取りたりとて、
一歩銀廿五両
包二
個を
手拭にくるみて
提げ来られ、予が
妻に
示し、
今日貰て来ました、
勇気はこれに在りとて
大笑せられたり。
王戎簡要天地玄黄なんぞ
出鱈目に
怒鳴り立てゝ、誠に上首尾、
銭だの米だの随分相応に
貰て来て、餅を買い鴨を買い
雑煮を
拵えてタラフク
喰た事がある。
何故かと云うに、
若しその人達を連れて帰れば、
却て
銘々共が亜米利加人に連れて
行て
貰たように思われて、日本人の名誉に
係るから乗せないと剛情を張る。