説得せつとく)” の例文
それ、徒労力むだぼねことよ! えうもない仕事三昧しごとざんまい打棄うつちやつて、わかひとつま思切おもひきつて立帰たちかへれえ。老爺おやぢらぬ尻押しりおしせず、柔順すなほつまさゝげるやうに、わかいものを説得せつとくせい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふと氣がついてみると、私は今馬鹿ばかかたくなつてこれをいてゐました。しや私の言ひかたがあなたを説得せつとくするやうな調子になりはしなかつたかと思つて、私は今思はずおもてあからめてゐます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
最初は、与力吟味よりきぎんみにまかせておいたのであるが、どうしても、彦兵衛が頑として、公事を下げないというので、ここ二回ほど、甲斐守自身が、彼をよび出しては、説得せつとくを試みて来たのであった。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)