かゝ)” の例文
その頃は京濱間より外に鐵道といふものも無く、私達の故郷から東京まで行くには一週間もかゝるほど不便な時でした。
いゝえ、いゝえ!冐險談ばうけんだんき』つてグリフォンは焦心じれッたさうに、『説明せつめいなンて、時間じかんばかりかゝつて仕方しかたがない』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
で、この膿さへ止るやうになればよいのだが、それまでには少くとも二ヶ月はかゝるだらうといふことであつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
此村あたりの娘にはこれ程うまい話はない。二人は、白粉やら油やら元結やら、月々の入費を勘定して見たが、それは奈何に諸式の高い所にしても、月に一圓とはかゝらなかつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
吾儕は湯が島の鳥の骨で齒を痛めて居たから、この新しい鰒を味ふには大分時がかゝつた。M君は齒を一枚落した。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と言つて気を変へて、『それにしても、出掛けるとなると、思つたよりはかゝるものだ。少許位すこしぐらゐは持合せも有ますから、立替へて上げてもいゝのですが、どうです少許すこし御持ちなさらんか。 ...
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)