裾短すそみじ)” の例文
袖口だけに刺繍ぬいのある裾短すそみじかなぬい洒落者しゃれものとみえて、黒紗くろしゃ卍頭巾まんじずきんには、紅紐べにひもッたまげが紅花みたいに透いてみえる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
裾短すそみじかでそでひじより少い、糊気のりけのある、ちゃんちゃんを着て、胸のあたりでひもゆわえたが、一ツ身のものを着たように出ッ腹の太りじし太鼓たいこを張ったくらいに
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
少年は川上へ堤上を辿たどって行った。暮色はようやせまった。肩にした竿、手にしたふご筒袖つつそで裾短すそみじかな頬冠り姿の小さな影は、長い土堤の小草の路のあなたに段〻と小さくなって行く踽〻然くくぜんたるその様。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
継ぎはぎの着物は裾短すそみじかでなわの帯をしめている。
花物語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)