螺旋ねぢ)” の例文
張作霖は螺旋ねぢを巻き忘れた柱時計の顔を見ても、飲み忘れた水薬のにほひいでも、直ぐこの合言葉を思ひ出すのだ。そして
室内しつないには螺旋ねぢゆかめられた寐臺ねだい數脚すうきやく其上そのうへにはあを病院服びやうゐんふくて、昔風むかしふう頭巾づきんかぶつてゐる患者等くわんじやらすわつたり、たりして、これみんな瘋癲患者ふうてんくわんじやなのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それでも螺旋ねぢを巻くのさへ忘れなかつたら、時計は教育家のやうに悲しさうな溜息をき/\動いてゐた。
昨夕ゆうべからこはれかけの眼覚時計に螺旋ねぢを巻いて、今朝はいつもにない夙起はやおきをして来てゐるのだ。
父親てゝおやこはれかけた目覚し時計を扱ふやうにらけた頭に矢鱈やたら螺旋ねぢをかけてみたが、その一刹那花は酒や音楽と同じやうに神様が人間をたのしませるために拵へられたものだといふ事に気がいた。