蝋燭らうそく)” の例文
わたくしが光照院の墓の文字を讀んでゐるうちに、日はやうやく暮れむとした。わたくしのために香華を墓に供へたおうなは、「蝋燭らうそくとぼしてまゐりませうか」
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
米味噌醤油しやうゆ鰹節かつをぶしちや蝋燭らうそくまでをも用意よういして従者ずさにもたせて立いでしは文政十一年九月八日の事なりき。
提灯の蝋燭らうそくが燃え盡くさずに消してあつたと聽いた時から、俺は番頭が怪しいと思つたよ。そんな切羽詰つた時にも火の用心を忘れないのは、よく氣の付く女房か、賢い番頭に限ることさ。
不用意ふよういると窒息ちつそくしておそれがあるので、蝋燭らうそくをさしれる必用ひつようがある。人足にんそく一人ひとりすゝんで、あななか片手かたてをさしれると、次第しだいちいさつて、のちには、ふツとえた。